福島民報 10月26日
私にとって郡山は懐かしく特別な場所です。最初に社会人として歩んだ会社の最後の仕事場が郡山のすぐそばの本宮(もとみや)だったからです。
東京から本宮に行く際に必ず郡山を通り、時には一杯やった場所でした。その郡山に降りたのは28年ぶり。駅も立派になり、駅から講演会場のビッグパレットふくしままでの道のりは、すっかり立派な通りになっていて、昔の面影はありませんでした。
しかし、自分の記憶に残っている郡山と本宮での、汗と涙の思い出は一生消えることがありません。
あの仕事に出会ったこと、当時一緒に汗をかいた人たちとの出会いがあったからこそ、今の自分があるといってもよい。一生に一度、最初で最後の20代での出会い。
昔、立花隆の著書に「20歳の頃」というのがありました。20歳の頃に何をやるかが大切だという内容でした。
私が社会人として歩み始めたのは25歳からでしたが、やはり20代での体験はどれも鮮烈でした。もちろん、当時でも仕事に追われ、時間がなく、20代なのでカネもあまりありませんでした。しかし、その分だけ「もっとこうしたい」「あそこに行きたい」という情熱とエネルギーにあふれていました。
日本の学生は内向き志向が強まったとか言われますが、世間の一般的な話はどうでもよく、20代に一生懸命何かに取り組むことが大切だと思います。