2025年のシニアの消費行動はどうなるか?

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Clinic ばんぶう2月号連載 データから読むイマドキ「シニア」の実態第8回

オムニチャネルとシニアシフトはコインの裏表

2020年は東京で再度オリンピックが開催される年として多くの人が認識しているでしょう。しかし、シニアの消費行動の観点では2025年が大きな節目の年となります。その理由は、団塊世代の最年少者が75歳を超え、後期高齢者の仲間入りをするからです。

後期高齢者という言葉は評判が悪いですが、医学的にはそれなりの意味を持っていることは本誌の読者であればご存じでしょう。つまり、75歳を境に病院で治療を受ける受療率、要介護認定率、認知症出現率などの増加ペースが急上昇するからです。つまり、75歳を過ぎると要支援・要介護者の割合が一気に増加するのです。

図は2025年の女性人口構成と要介護人口の予測数です。男性人口もほぼ同じような推移をたどります。そこにネット利用率の予測を合わせてみました。たとえば83歳では要介護者とそうでない人の割合がほぼ50%ずつ。そして、ネットの利用率は45%に達します。45%という数値は、IT機器普及の観点から言えば、ほとんど普及段階といってよいでしょう。つまり、2025年には、高齢者でもネット利用が当たり前の時代になるのです。

すると、流通市場において高齢者のネット通販利用が劇的に増えることが予想されます。従来は、高齢者の通販利用と言えば、折り込みチラシやテレビ通販、カタログ通販の利用がせいぜいです。しかし、それがネットにシフトしていくのです。

シニアがネットをどんどん使うようになれば、小売業は転換期を迎えます。百貨店やスーパーのように店頭販売が主流の小売業は、今の業態のままではシニア顧客が徐々に離れていくでしょう。

これに対し、イオンやイトーヨーカドーなどの大手スーパーでは、ようやく「オムニチャネル戦略」と称して、店舗とネットとの連携に注力しています。「オムニチャネル」とは、店舗とネットの販売チャネルの融合のことを言います。これには、販売チャネルの先にいる顧客の端末形態も含みます。

一方、今後シニアが使う端末の主流はタブレットになりそうです。スマホは画面が小さくて扱いにくいし、パソコンは設定や接続が面倒だからです。こうした予想を見越して、一部の通販会社は、来る2025年に向けて着々と準備を進めています。たとえば、ある通販会社のタブレット用画面は、きめ細かいナビゲーションシステムを備え、ワンクリックで商品が買える使い勝手のよさがあります。

こうしてみると、オムニチャネル戦略とシニアシフト戦略とは、実はコインの裏表の関係であることがわかります。

成功するシニアビジネスの教科書
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この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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