「旅行関係」「保健・医療」はネットでも高齢層の支出大

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Clinic ばんぶう12月号連載 データから読むイマドキ「シニア」の実態第5回

総務省が実施している「家計消費状況調査」「平成26年全国消費実態調査」を見ると、あまり知られていないシニアのネットショッピングの最新動向がわかります。そのなかから特に重要と思われる2点を紹介したいと思います。

第1点は、50歳以上のネットショッピング利用者の割合は、年齢が上がるにつれて減っていくものの、利用者における支出総額は50歳代、60歳代、70歳以上でほぼ同水準となっていることです。

2人以上の世帯における2015年1年間のネットショッピングの支出総額を世帯主の年齢階級別に見ると、50歳代が 15万5916円と最も多く、次いで40歳代が14万6064円となっています。

一方、高齢層は60歳代が8万8392 円、70歳以上が4万3404 円と少なくなっています。この差は、ネットショッピングを利用した世帯の割合によるもので、39歳以下が45.2%と最も高く、年齢が高くなるに従って低下し、60歳代で22.1%、70歳以上では11.1%に過ぎません。

ネットショッピングが普及したといっても、高齢層の利用者数割合はまだ少ないのが現状のようです。

ところが、ネットショッピングを利用した世帯に限定した年間支出総額で見ると、70歳以上は38万7804円で、最も多い50歳代の40万7988円とほぼ同水準となっています(図)。

この事実は、利便性や価値に納得すれば、高齢層も積極的な消費者になる、つまり私が17年前から提唱している「スマートシニア」になることを示しています。

今後60歳代以上のネット利用者割合が増加すれば、60歳代以上のネットショッピング市場も大幅に拡大することが予想されます。「シニアはネットを使わない」というのは過去の話になりつつあるのです。

第2点は、ネットショッピングの多くの購入費目は年齢が上がるに従い支出割合が減りますが、「旅行関係」と「保健・医療」は例外である点です。特に「旅行関係」は、60歳代ではネットショッピング支出の約4分の1を占める最も支出の大きい費目

65歳前後の退職を機に半分近くの人が旅行をしますが、その方法としてネットショッピングがかなりに一般的になっているとわかります。

また、「保健・医療」は年齢と共に支出が増え、70歳以上ではネットショッピング総支出の8%を占めています。そのうちの5.9%(「保健・医療」の74%)が健康食品、2.2%(同26%)が医薬品に対する支出です。

私は以前よりシニアの三大不安は「健康」「経済」「孤独」の「3K不安」と言っていますが、ネットショッピングにも健康不安を解消したいニーズが反映されていると言えるでしょう。団塊世代のみならず、その次の世代が高齢者の仲間入りをするに伴い、シニアのネットショッピング市場はまずます拡大していくと考えられます。


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この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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