弁当・総菜を家で「中食」拡大 団塊世代の生活に変化

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日本経済新聞夕刊 2015年7月8日 読み解き現代消費

男女とも60代が活発に利用している「中食(なかしょく)」

近年、中食(なかしょく)市場が伸びている。調理済みの弁当や総菜などを購入したり、配達してもらったりして家庭内で食べる食事形態のことだ。リクルートライフスタイルの調査によると男性は30、40代と60代、女性は60代で中食のシェアが大きい。

気になるのは、男女とも60代が活発に利用している点だ。背景には人数の多い団塊世代のライフステージが変化していることがある。

変化の一つは、退職に伴う「自宅引きこもり夫」の増加。リビングくらしHOW研究所の調査では、夫が退職した50、60代の女性に「1週間のうち、夫が家にいるのはどのくらいか」と尋ねると、「ほぼ毎日」が38.5%に達した。

「家にいる方が外出より多い」の25%を加え、6割以上の夫婦で夫が「自宅引きこもり派」であることがわかった。

一方、「5年前と比べて自分の時間が増えたと思うか」の質問に「減った」と答えた女性の割合は、夫が現役の場合は18.6%なのに対して、夫が退職すると31.6%に跳ね上がった。

妻の自由時間が減るのは、退職した夫が自宅に長くいるために食事の世話に時間を取られるから。これが中食需要を拡大する背景になっている。

一人暮らし世帯の増加も中食市場拡大の要因

もう一つは、一人暮らしの「単独世帯」と「夫婦のみ世帯」の増加。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、都市型の東京都では既に「単独世帯」「夫婦のみ世帯」が他の世帯数を上回っており、今後も増加が予想されている。

地方型の新潟県や秋田県では、現時点で大家族世帯である「その他世帯」が最も多いが、2025年ごろには「夫婦のみ世帯」「単独世帯」が上回る見通しだ。

このように家族構成員のライフステージの変化が、家庭内の消費需要の変化に影響を及ぼす例は多い。シニアの消費行動は、シニア個人だけを見ていると見誤るので注意が必要だ。

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この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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