著書概要:リタイア・モラトリアム

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2007年11月号 トップポイント

団塊世代の定年退職に伴って生じるとされた「2007年問題」は、結局、大した問題にならなかった。というのも、多くの人は完全にはリタイアしない「リタイア・モラトリアム」の状態にあるからだ。本書では、この猶予期間がライフスタイルに及ぼす変化、そしてシニアビジネスの行方を読み解く。

●定年退職後、本当の離職までの期間を「リタイア・モラトリアム」という。

●リタイア・モラトリアムに突入する時期は、心理的発達段階における「解放段階」と合致する。この解放段階では、「今やるしかない」という気持ちを伴った行動がよく見られ、 新しい挑戦を行うことも多い。

●リタイア・モラトリアムは、潜在的な自己解放力を表出する契機となる。この自己解放力の表出により、「解放型ライフスタイル」と呼ばれるライフスタイルがもたらされる。

●解放型ライフスタイルにおいては「解放型消費」が生じる。  この消費は、次のように3段階に変化する。①時間解放消費 → ②自分探し消費 → ③パーソナル・ミッション消費

●リタイア・モラトリアムを体験した人々は、従来のリタイア生活ではなく、もっと積極的に生きる「脱・リタイア」生活を指向すると思われる。

●脱・リタイア生活の具体例としては、米国の場合、次のようなものがある。
・HOHO:夫婦それぞれが、家庭にオフィスを持ち収入を得ながら、余暇も楽しむ生活スタイル
・カレッジリンク型シニア住宅:大学の敷地内などに建てられたシニア住宅で、皆が「知縁」で結ばれるコミュニティ

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