中小企業経営者を守る「スマート・エイジング」の秘訣 第2回

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ウィーンフィルコンサート

Plus One 2023年3・4月号

今回は「元気でいきいきと過ごすための秘訣」を二つご紹介します。

秘訣その1:達成するとうれしい目標を立てる

元気を生み出す「報酬系」と「ドーパミン」

私たちは何かを達成したときや誰かに褒められたとき、うれしく感じたり、もっと頑張ろうという気持ちになったりします。

実はこういうときに、脳内の「報酬系」という神経ネットワークに「ドーパミン」という神経伝達物質が放出され、私たちに「元気」や「やる気」「わくわく感」を感じさせます。

ドーパミンが放出されやすくなるのは、次の3つの場合です。1つ目は「不確実なうれしい出来事を期待しているとき」。例えば、宝くじを買って、当たるかどうかはわからないけど、当たった場合のことを考えてワクワクしているようなときです。

2つ目は「予期していなかったうれしい出来事が起きたとき」。例えば、宝くじが当たったときや、万馬券を取ったときです。まさか当たると思ってなかったものが実際に当たったときです。

3つ目は「うれしい出来事が確実に起きると予想されたとき」。例えば、会社を退職して、3ヵ月後に念願の海外旅行に行くと決めて、すでにチケットも予約してあり、その日が来るのを待っているときです。「もういくつ寝るとお正月」型ともいえます。

日常生活でのドーパミンの増やし方

これらの原理を応用すると、日常生活において「やる気」の素になるドーパミンの放出を「意図的」に促すことができます。

そのひとつは「不確実なうれしい出来事を期待する」の応用で「目標設定型」の生活をすることです。実現するかどうかはわからないが、実現したらうれしいという目標を設定した生活。つまり、明日、1週間後、1ヵ月後、1年後が楽しみになるような生活です。

聖路加国際病院の名誉院長、故日野原重明先生は手帳に常に5年先の予定を具体的に書き込んでいました。5年後の何月何日の何時から日比谷公会堂で全国から集まった3千人と自分の誕生会を祝う、と書くのです。

5年先に生きているかどうかはわかりませんが、実現したらうれしいことです。こういう習慣を続けてきたことで、日野原先生は100歳を超えても、いきいきしていました。

目標設定のコツは、今の自分の能力より「少しだけ高い」水準にすることです。高すぎても低すぎてもいけません。また目標設定は「具体的」にすることが重要です。「近い将来にどこか美しいところに行く」という漠然としたものはダメです。

例えば「来年の2月10日にウィーンに行き、ウィーンフィルのコンサートを聴く」のように、具体的ではっきりしたものにすることが肝心です。

また、設定する目標は「達成したらうれしい」ものが効果的です。設定する目標が義務的で、達成しても楽しくない「ノルマ」だと逆にストレスを感じ、報酬系は活性化しません。達成するとうれしい目標とご褒美を作って毎日に生きる張り合いをつけましょう。

秘訣その2:リズミカルに活動する

精神を安定させるセロトニンとは?

中年期以降の方は会社勤めなら管理職として忙しい場合が多いでしょう。上司からの要求、顧客からのクレーム処理、部下のマネジメントなど責任も重いです。一方、家庭でも親の介護、子供の進学・就職、配偶者との関係など、精神的な負荷も多く、心労も重なります。

こうした心労からくる不安感をなくし、精神を安定させ、脳内に負の記憶、マイナスのイメージが過剰に形成されるのを抑制するのが脳内に分泌される神経伝達物質「セロトニン」です。

なぜ、セロトニンは重要なのか

セロトニンが重要なのは、朝になると目が覚め、夜になると眠るという「生体リズム」に関わっていることです。セロトニン神経系の活性度が低下すると、寝起きが悪くなるなど睡眠障害の原因になります。

また、セロトニンは睡眠ホルモン、メラトニンの原料になっています。そのためセロトニンが不足するとメラトニンも不足して眠りが浅くなり、それも睡眠障害の原因になります。

さらに、セロトニン活性度が低下すると不安感が強くなり、うつ病の原因になります。

今日からできる脳内のセロトニンの増やし方

日常生活においてセロトニン神経を活性化させるには、第一に太陽の光を浴びること、第二にリズム運動をすることです。

太陽の光を浴びるとは、具体的には朝、照度2500ルクス以上の光を5分以上浴びることです。これにより、脳全体にわたるセロトニン神経系を通じて脳が〝覚醒状態〟になります。朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。天気が悪くても外に出て太陽の光を浴びることが重要です。

リズム運動とは、「イチ、ニ、イチ、ニ」とリズミカルに運動をすることです。例えば、ウォーキング、よく噛んで食べること、ヨガや太極拳などの吐き出す呼吸が挙げられます。

太陽の光を浴びながらリズム運動を併せて行うのに最も手軽な方法は、日の出後に起床し、外に出て、リズムよく30分ウォーキングすることです。ウォーキングが終わったら、熱いシャワーを浴びましょう。

おすすめは毎日の「朝活」

ちなみに、朝シャワーでセロトニンの分泌が増えるわけではありませんが、活動モードへのスイッチになります。自律神経の面では、寝ている間はリラックスの神経である副交感神経優位ですが、起きると活動の神経である交感神経が優位になります。すると自然免疫の一つであるNK(ナチュラルキラー)細胞の活性が上がることもわかっています。

是非明日から、朝起きて太陽の光を浴びながら、リズミカルに30分歩いてみてください。その後シャワーを浴び、よく噛んで朝食をとる。この一連の「朝活」が日常生活で脳内にセロトニンを増やし、コロナうつを解消するのにも有効です

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