2006年11月2日 Webook of the Day 今日の一冊
———————————————————————-
++
++ Webook of the Day
++ http://webook.tv
++ book diary by Shinnosuke Matsuyama
++
——————————————————2006.11.02—–
年を重ねてこそ・・・っていいねー。
———————————————————————-
●今日の一冊:【いくつになっても脳は若返る】
年齢を重ねてこそ湧き出る積極的な力
——————————————–
|ジーン・D.コーエン/著 村田裕之/竹林正子/訳
|ダイヤモンド社|2006年10月
|ISBN:4478860556|1,600円|253P
——————————————–
<本のひらめき>
「アンチエイジング」とか「加齢対策」とか、この頃、食材、化粧品、ゲーム
機などでよく使われる言葉がある。そこには、年をとることは、全てにおいて
いいことはなく、「年をとってもできるだけ身体や脳の機能が落ちないように
しよう」という文脈がある。
しかし、最近の脳の研究では、どうやら私達が常識と思っていたもの、つまり
上手に年をとるには、心身の衰えをなんとかしてくいとめるしかない、という
考えは、どうやら間違っている!らしい。
本書では、歴史にのこる著名な人(フロイトの有名な論文は65を過ぎてから
だった・・・、ダーウィンの種の起源は55歳で出版された・・)や、年をと
ってから大きくはばたいた一般の人の活躍が紹介されている。そして、どうや
ら、「年をとっても」ではなく、「年をとったからこそ」という文脈で語った
方がよいことがわかってきたのだ。
社会負担の増加など、高齢化社会の影の部分がかまびすしく喧伝されるこの頃
、こうした元気のでる研究はうれしい。
脳の研究はだいぶ進んできたが、まだまだ間違った常識があるという。例えば
x 脳が新しい神経細胞を生成することはない。
x 年長者の脳には、若年者と同等の学習能力はない。
x 神経細胞の結びつきは、生涯、相対的に固定されている。
これらは、みーんな間違い! 最近の研究では、脳は年齢を重ねても新たに脳
細胞を結合し新たな記憶を作るばかりでなく、まること新しい細胞も生成する
のだという。ぉおー!
そして間違った常識を打ち崩すためにも、元気で創造的な諸先輩がいっぱいい
る社会になってほしい。そのためには、人とのつながり、継続することの大切
さ、恩返しによる満足感・・などいくつかのヒントが書かれている。
これから、定年を迎える50代以上の方必読書!
<僕の思いつき>
定年、リタイアメントといったものは、現在、社会的にも心理学的にも見直さ
れ、再創造されているところだという。団塊の世代がバガっとリタイアする2
007年問題等で植えつけられた間違った“常識”を抜け出し、高齢社会の正
しい理解と生き方を認識すべきときのようだ。
これから定年を迎える方、しばらく先の方、ずっと先の方、そろそろ高齢社会
のパラダイムを変えるときかも。
終わりではなく、始まりなんだ・・という思いこそ、大切かもしれない。
翻訳者の一人村田さんは、
加齢(エイジング)を「善」か「悪」かの二元論的思考で見るのではなく
「善」も「悪」も超えた弁証法的思考で捉えるべき
という。なるほど!
常識を超えた、すばらしい高齢社会をつくろうじゃぁありませんか、諸先輩!
———————————————————————-
<オススメ度>
★★★★★+年を重ねてこそ
<読んで欲しい方>
・年寄りはキライダという方
・上手に年をとりたい方
・定年後も元気に活躍したい方