学びと職住接近が充実した生活をつくる

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日経マスターズ 2月号

これまでアメリカの退職者にとっては
「リタイアメント・コミュニティー」という
居住地域で暮らすというのが
憧れの姿だったと言っていい。

リタイアメント・コミュニティーとした有名なのは、
1960年に建設されたアリゾナ州の「サンシティ」。
広いゴルフ場やテニスコートなど充実した
レジャー施設が住居に併設されており、
退職後は暖かいところでスポーツでもしながら
のんびり過ごしたいと考える退職者の人気を
集めてきた。

こうしたリタイアメント・コミュニティーは
すでに1100を超える数が建設されている。

これに対して、ラッセル・ビレッジは
生涯学習がテーマ。
入居者には年間450時間以上の
授業を受けることが義務付けられている。
この授業の時間数は、併設のラッセル・
カレッジの学生とほぼ同じ。
気が向いたときだけ勉強するというのではとうてい追いつかない。

それでも既に定員いっぱいで100人以上が入居待ちだ。
スミスさんも「生涯学習を求めていた私たちの希望にぴったりでした」と、
夫婦で毎日授業の予習に余念がない。

授業は、ビレッジが独自に行なっているもののほか、
ラッセル・カレッジの授業も受けられる。
例えば「ミュージカル劇場」という授業では、
アメリカ発祥のミュージカルの芸術性に
ついて、学生と一緒に学ぶ。

「若い人たちが周りにいることが大切。
ほとんどのリタイアメント・コミュニティーは
若い世代から隔離されている」

と言うのは、元看護婦のグロリア・トーマスさん(六七歳)。
世代を超えて学びを中心にした人々のコミュニティーで暮らせることが、
ここでの生活を魅力あるものにしているという。

レベルの高い学習環境と、共通の知的好奇心をもつ人々との交流が、娯楽以上の
喜びを生み出している。

(本文より抜粋)

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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