シルバー産業新聞 2006年2月10日

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2006年2月10日  シルバー産業新聞
 
「団塊の世代=ビートルズ世代とは限らない」 と、本紙連載「社会変化が生み出す新事業」の村田アソシエイツ代表の村田裕之さんは、新刊の帯に書いた。

ビートルズをはじめ、ベンチャーズや70年安保から連想される多感な時代精神こそ団塊世代特有の嗜好性と一面的に捉えらえて、様々な商品が開発されてきた。

「ノスタルジア商品」やロングステイ、世界遺産のパック旅行などがそうだが、その多くが失敗している。一筋縄では捉えきれない多様なこのシニア市場を切り開くにはどうすればよいのか。

著者のアプローチの基本は、数少ないながら存在する成功事例の要因分析にあると言ってよいだろう。

ユーリーグが50代女性中心に40万部を発行する直販雑誌「いきいき」は、読者からの意見を吸い上げる「ご意見はがき」がポイントだとする。読者のはがきは編集スタッフ全員が目を通し、自分たちの発信した情報がどのように読者の受け止められているのかを知る。一方通行になりがちな編集作業が、読者からのはがきを通じて双方向のものへアウフヘーベンされるのだ。こうして読者がほんとに知りたい情報の種類や質が明確になる。

「読者との関係を深めるためには予算を惜しまないこの姿勢こそ、真の顧客中心主義といえ、41万人という読者獲得が、奇跡でもなんでもないことが納得できる」と、マジックの種を明かす。ポイントは一見常識的で、言うは易くやるは難しいものなのだ。日本だけでなく海外の成功事例を交え、見事に核心をつくその分析は、日本を代表するシニア市場アナリストとも言える著者ならではのものがある。

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