保険毎日新聞3月27日号 2006年3月27日

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2006年3月27日 保険毎日新聞 プロフェッショナル・アイ 
 
さまざまな会員制サービスの苦戦事例をここ数年よく耳にする。「顧客維持の壁」の要因を眺めると、共通しているのは、「いかに顧客を囲い込むか」という発想があることである。
囲い込みというのは、売り手の「幻想」にすぎない。こうした売り手側の意図が見えた瞬間、買い手側は興ざめし、引いてしまうのが関の山である。

むしろ本当に価値あるものを提供し、その価値が認められれば、無理やり囲い込もうとしなくても、顧客から自然に何度も声がかかるものである。その結果、顧客のそばにいる機会が増え、潜在ニーズが明らかになる「最上流地点」にいる機会が増える。これは顧客に対して心理的に最も近く、信頼される「駆け込み寺」のポジションになることを意味する。

今後は高齢化のさらなる進展で「駆け込み寺」に駆け込めない人が増えていく。このため駆け込み寺の機能を持つ人が、顧客の自宅に出向く「出張駆け込み寺」が求められている。

したがって、会員サービスで目指すべきなのは、「顧客を囲い込む」のではなく、「顧客の駆け込み寺」になることなのだ。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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