Between 2007年冬号

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2007年冬号 Between

COMPANYの視点-関西大学文学部の強みを生かした挑戦
 
 
2006年6月、関西大学文学部は、シニアビジネス専門のシンクタンク(財)社会開発研究センター(東京都港区)、高齢者施設の建設・運営を手掛ける㈱アンクラージユ(兵庫県尼崎市)と提携し、「カレッジリンク型シニア住宅」を創設すると発表した。

(中略)

文学部にしかできない形で社会や地域との連携を図ることによって、大学改革につなげたいという思いもあった。「一般的に、大学は自分たちの価値観だけで物事を判断することが多い。外部の団体との新しい事業展開により、われわれ自身の意識も変えられるのではないかという期待があった」。

そんな折、芝井副学長が目にしたのが、2005年5月に社会開発研究センターの村田裕之理事長(当時は理事長室長)が雑誌に寄稿したアメリカのカレッジリンク型コミュニティ(16ページコラム参照)に開する記事だ。高齢者と若者が共に学ぶことによって、学生は人生経験豊かな人に触れ、自分の生き方を問い直すことができる。一方、高齢者は若者から刺激を受け、知的好奇心を満たしながら生き生きと暮らせる。「世代を超えた交流の中で、若者が成長し、シニアが元気になる、そんな仕掛けをつくれるのではないかという期待があった」。

芝井副学長は早速、村田理事長に連絡を取って打ち合わせを行い、学内での承認を経て、共同で事業に当たることを決めた。施設の運営は、同センターの提案でアンクラージュが担うことになった。高齢者の新しい社会参加スタイルの確立を目指す同センター、高齢者施設の差別化を模索していたアンクラージュ、そして、世代間交流による教育メリットを追求したい関西大学。三者の狙いがカレッジリンク型シニア住宅という形で実現した(図1)。

(中略)

この事業については、少子高齢化を見据えた大学の生き残り策の一つという見方をする向きがある。しかし、関西大学が期待して入るのは、単純な定員確保でもなければ知名度アップでもない。芝井副学長は、真の狙いは「日本における大学の役割や位置付けを変えるきっかけにすること」と強調する。

「大学は高校を卒業した若者の教育機関として捉えられている。高校から大学、そして社会へという人生のステップの一つとして位置付けられているのが現状だ。しかし、本来の大学は、意欲さえあれば誰でも学ぶことができる生涯学習機関であるはず。世代やバックグラウンドの異なる人々が行き交う場所にして、大学を『知の拠点』として再生させたい」

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