消費行動への誤った思い込み

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高齢者住宅新聞 介護保険に頼らないシニアビジネス成功の12のヒント 第5回

世間にはシニア市場に関する俗説がはびこり、それが誤解を増大させ、市場参入の妨げになっている。そこで、シニア層の消費行動についての俗説と正しい見方を解説する。

俗説1:シニア層は他の年齢層よりお金持ちだ

世帯主が60代以上の正味金融資産(貯蓄-負債)の平均値は2,000万円以上であるが、年間所得は50代をピークに減少し、65歳以上の高齢者世帯では、約8割が400万円以下となっている。他の年齢層より「資産」は多いが「所得」は少ないというのが正しい認識だ。このため普段の生活は倹約気味で無駄なものは買わない。だが、いざという時に必要なものは多少高価でも惜しまない。そのためにお金を蓄えているとも言える。

俗説2:シニア層の消費は年齢で決まる

例えば女性は50代になると肌の衰えを最も気にするようになる。60代になると関節痛の割合が増えてくる。美容や体型維持のため、現役で忙しい50代ではサプリメントの摂取を、時間的に余裕ができる60代では運動をする傾向がある。このように身体の変化によって消費行動に差が出てくる。

また、本人のライフステージの変化で消費行動が変わる。男性では退職をきっかけに、「夫婦で旅行」「リフォーム」「投資」などの高額商品が消費されやすい。

さらに家族のライフステージの変化も影響する。夫は退職後、在宅時間が増えるため妻は夫の世話に時間を取られる。すると料理代行の需要が生まれる。小売業が外食と内食の中間である中食(なかしょく)市場に注力しているのはこのためだ。

このようにシニア層の消費は年齢ではなく、シニア層特有の変化で決まると認識すべきだ

俗説3:シニア層はネットをほとんど使わない

年齢別のネット利用率の推移(図)をみると、01年以降50代以上の利用率が大幅に増えているのがわかる。これに伴いネットで情報武装し、情報収集したうえで消費する「スマートシニア」が増えている。シニア層はネットを使わないというのは過去の話だ。

成功するシニアビジネスの教科書

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