『不動産経済』
      一歩先行くシニアビジネスのヒント

 

「商品」を売りたければ「商品体験」を売れ

 
 

2010年8月18日号 第4回

村田裕之
 

顧客にとっての「エクスペリエンス(経験・体験)」が新たな経済価値となることを提唱したのは、社会学者のB・J・パインUとJ・H・ギルモアである。彼らは、著書『The Experience Economy』において、顧客にとっての価値は、1)コモディティ、2)製品、3)サービス、4)エクスペリエンスの順に高くなると述べた。

たとえば、コーヒー1杯の価格は、コーヒー豆というコモディティの場合、カップ1杯に換算すると1〜2セントにしかならない。それを加工業者が豆を挽いてパッケージングし、製品としてスーパーで売るときには、カップ1杯に換算すると、5〜25セントで売れる。

さらに、その豆を使って淹れたコーヒーがごく普通のレストランや街角の喫茶店やバーで提供されるときには、1杯につき50セント〜1ドルとなる。

しかし、同じコーヒーでも五つ星の高級レストランやエスプレッソ・バーだと、顧客は一杯につき2〜5ドル払う。注文するのも淹れるのも飲むのも、すべて心ときめく雰囲気や舞台のセットのような空間の中で行われるからだ。

現代はモノ余りの時代であり、すぐに競合商品が互いに真似しあい、似たような仕様になる。そして、商品差別化の猶予時間がどんどん短くなり、その結果、最終的には価格競争になり、体力勝負に陥ってしまう。そうした商品はすぐにコモディティ化し、激しい価格競争にさらされることになる。こうした競争から脱却するための1つの手段が「エクスペリエンス」という経済価値を中心に据えた「エクスペリエンス・ビジネス」なのだ。

(本文より抜粋)

 

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