機能重視・スタイル無視の福祉系商品

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高齢者住宅新聞 介護保険に頼らないシニアビジネス成功さらなる12のヒント 最終回

「シニア向け」脱し、デザイン性追求を

企業がシニア向け商品を展開する時、「シニア向け」と謳うのは禁物だ。シニア向けと謳っていいのは、「シニア料金」「シニア割引」など具体的な経済的メリットがある時だけだ。

例えば、ワコールの中高年女性向け下着に「グラッピー」というブランドがある。「寒い冬を快適に過ごす、あったかアイテム」「おなかを包み、股関節をサポートするガードル」「背筋を伸ばすブラ・キャミソール」など中高年女性の身体の衰えをカバーする下着類だが、シニア向けとは一切謳っていない

シニア向けなどと言わず、あくまでシニアの身体変化による衰えをエレガントにカバーしてくれる商品機能が重要なのだ。

一方、シニア層に根強い人気のらくらくホンも初期のデザインはジジくさい・ババくさいと言われた。しかし、最近はずいぶんお洒落なものに変わった。ハズキルーペが売れたのも、老眼鏡のダサいイメージを脱したからだ。高齢者用の杖も最近はおしゃれなデザインのものがたくさん登場している。

とはいえ、まだ改善の余地のあるアイテムもたくさんある。代表的なものが、高齢者が杖代わりにも使う「シルバーカー」だ。買い物の収納バッグ機能、休憩用の椅子の機能もあるカートだが、機能重視・スタイル無視の典型だ。

また、高齢者向けの靴もまだまだだ。滑りにくい、脱着しやすい、足に負担が少ないなどの機能優先で、おしゃれとはほど遠いデザインのものが多く、ファッションセンスを感じない。

介護用品や福祉用具は、概してファッション性のあるデザインが遅れている。この理由は売り上げにおける介護保険報酬依存度の高いものはデザインがダサくても利用者の負担額が少ないため品がはけるからだ。私はこれが介護保険報酬依存の悪弊だと思う。

団塊世代以降の世代は、若い頃からファションに敏感な人が多く、こだわりも強い。こうした人たちには、たとえ介護用品であってもファッション性がますます重要になっていく。

成功するシニアビジネスの教科書
高齢者住宅新聞

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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