中年期以降に増える不眠の原因とは?睡眠障害を防ぎ、眠りの質を高め...

秘訣その7 不眠の原因を取り除く

なぜ、よく眠ることが大切か?

なぜ、よく眠ることが大切か。

睡眠は大切こんな当たり前のことをわざわざ本ガイドで取り上げるのか、と疑問が出るかもしれません。

その理由は、簡単にいえば、睡眠の質が低いと、このPART2のテーマである「元気でいきいきと過ごす」ことが難しくなるからです。

睡眠の質の低下は、いわゆる「睡眠負債」につながり、さまざまな病気のリスクを上げることになります。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠は脳・心血管、代謝、内分泌、免疫、認知機能、精神的な健康の維持・増進に重要であるとされています。

睡眠で大切なのは、単に何時間眠ったかだけではありません。

睡眠時間という「量」と、眠ったあとに休まった感覚があるかという「睡眠休養感」の両方が大切です。

もちろん、睡眠時間が短すぎる状態が続くのは問題です。

健康寿命の提唱者で疫学研究の第一人者である東北大学の辻一郎教授らの研究によれば、日本人女性2万3995人を対象に睡眠時間と乳がんの発症リスクの関係を調べた結果、平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間の人に対して乳がんのリスクが高くなることが示されています。

この研究で示されている睡眠時間はあくまで平均であり、必ずしも7時間寝れば睡眠の質がよいということではありません。

しかし、人を対象にした睡眠時間と病気のリスクとの関係を示した重要なデータです。

これ以外にも、多くの研究において睡眠の質の低下が、生活習慣病、脳機能の低下、精神的な不調などにつながる可能性が指摘されています。

睡眠中、脳では老廃物の掃除が行われている

睡眠中廃物の掃除実は、睡眠中には脳の中の老廃物を脳の外に洗い流す仕組みが働いています。

睡眠中に脳の神経細胞の周囲の空間が広がり、神経細胞の周辺を流れる液体の流れが増加します。

すると、昼間よりも効率よく老廃物を回収できるようになり、老廃物を含んだ液体は静脈に沿って脳外へと運び出されます。

この仕組みがうまく機能しないと、脳内にβアミロイドなどの蓄積が増えることがわかっています。

つまり、睡眠の質が低い状態が長く続くと、アルツハイマー病などのリスクに関わる可能性があるのです。

また、眠っている間に脳は記憶を整理統合していることがわかっています。

これは毎日の覚醒中に入ってくる情報で脳がパンクしないためには、取捨選択して古い情報を整理する作業が必要になるからです。

「寝る子は育つ」といいますが、実は子供だけでなく「寝る大人も育つ」のです。

人生のおよそ3分の1は眠りです。

人生100年時代には、およそ33年眠るわけです。

この長い期間にわたって、毎日を元気にいきいきと過ごすためには、毎晩ぐっすりとよく眠れること、つまり良質の睡眠が不可欠です。

中年期以降になると睡眠障害が増える

睡眠障害にもかかわらず、中年期以降になると、睡眠障害に悩まされる人が増えてきます。

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、一般成人の30〜40%が何らかの不眠症状を有しており、慢性不眠症は成人の約10%に見られるとされています。

また、不眠症状は加齢とともに増加し、60歳以上では半数以上に認められるとされています。

私もその一人でした。

前述の通り、50歳を過ぎて体調に異変を感じたきっかけは、海外出張時の「時差ボケ対応力」が落ちたことでした。

海外で時差ボケ状態が解消されないまま、日本に帰国しても、そのまま逆時差ボケのような状態が続くようになりました。

つまり、睡眠が浅く、3時間程度寝ると目が覚める、いわゆる中途覚醒の状態です。

実はこれが「秘訣その6」で触れた体内時計に不調をきたす「概日リズム睡眠障害」だったのです。

しかし、当時は「歳をとったから時差ボケ対応力が落ちたのだ」くらいにしか思いませんでした。

睡眠障害にはどのような種類があるのか?

睡眠障害には、精神生理性不眠、いわゆる不眠症をはじめ、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害、睡眠時無呼吸症候群、概日リズム睡眠障害、ナルコレプシーなどがあります。

このうち、最も多く見られるのが不眠症です。

不眠症には、主に次の4種類が見られます。

1

入眠障害

寝つきが悪い状態です。

2

中途覚醒

中途覚醒

眠ってから頻繁に目覚めてよく眠れない状態です。

3

早朝覚醒

早朝覚醒

早く目覚めすぎて困る状態です。

4

熟眠障害

熟眠障害

眠ったはずなのに休息感がない状態です。

こうした夜間の睡眠トラブルがあり、日中の調子がすぐれない状態が続くなら、不眠症の可能性があります。

一方、多少夜間に目覚めても、その後すぐ眠れ、日中は元気な人、早く目覚めても散歩などをして快く過ごせる人は、不眠症とはいいません。

不眠症の要因には、次のようなものがあります。

環境要因

環境要因

暑さや寒さ、明るさ、騒音、時差がある場所などによるもの。

身体要因

身体要因

年齢や性差、頻尿、痛み、かゆみなどによるもの。

心の要因

心の要因

悩みやイライラ、精神的ストレスなどによるもの。

生活習慣要因

生活習慣要因

アルコール、ニコチン、カフェインの摂取、薬の副作用などによるもの。

一方、ナルコレプシーという睡眠障害では、日中に突然強い眠気に襲われて眠り込むという症状が見られます。

ナルコレプシーは、他の睡眠障害とは異なり、体質や遺伝的要因、脳内の覚醒維持に関わる仕組みが関係していると考えられています。

夜の時刻情報の伝達物質「メラトニン」とは?

メラトニンの働き先にあげた体内時計の調節と睡眠の質に重要な役割を担っているのが、「秘訣その6」で触れたメラトニンというホルモンです。

メラトニンは、内分泌腺の一つである脳の「松果体」から分泌されます。

松果体は、目の網膜が受ける光の量の情報に基づき、メラトニンの分泌量を決定します。

目に入る光の量が減るとメラトニンの分泌が始まり、光の量が増えるとメラトニンの分泌が抑えられます。

つまり、夕方から夜にかけて暗くなると分泌が始まり、暗い間は分泌され、朝になって明るくなると分泌が抑えられます。

このように夜だけ血中のメラトニン濃度が上昇するため、メラトニンには「夜の時刻情報伝達物質」としての役割があります。

メラトニンが血中に放出されると、脈拍、体温、血圧が下がり、睡眠の準備ができたと体が認識し、睡眠に向かわせる効果があります。

寝るときに部屋を暗くするとメラトニンの分泌が促されます。

一方、夜間に明るい光を浴びると、メラトニンの分泌が抑えられ、眠りに入りにくくなります。

逆に日中に強い光を浴びると、体内時計が整いやすくなります。

毎朝、太陽の光を浴びて規則正しい生活をすると、メラトニンの分泌の時間や量が調整されて、体内時計が機能します。

一方、不規則な生活や昼間に太陽の光を浴びない生活を続けると、夜間にメラトニンがうまく分泌されず、睡眠障害の原因となります。

なぜ、中年期以降に睡眠障害の人が増えるのか?

ところで、なぜ中年期以降になると、睡眠障害に悩まされる人が増えるのでしょうか。

これには次の3つの理由からメラトニンの分泌量が減るためと考えられます。

第一の理由 加齢により退行性変化が生じるため

第一の理由は、加齢とともにメラトニンの分泌量が減るためです。

メラトニンは、一般に子供の頃に多く分泌され、思春期以降は年齢とともに減少していきます。

メラトニンは、網膜が光を検出すると、脳の視交叉上核を経て、松果体に信号が伝わることで分泌が調整されます。

メラトニンの分泌量が減るのは、加齢によってこの信号伝達系に退行性変化が生じるのが原因の一つと考えられています。

第二の理由 ストレスによってセロトニンの分泌量が減るため

第二の理由は、ストレスによるセロトニンの分泌量の低下に伴い、メラトニンの分泌量も減るためです。

中年期には、仕事や家庭のことで多くのストレスがかかります。

「秘訣その6」で触れたとおり、私たちはストレスにさらされ続けると、脳内のセロトニンを含むモノアミンの働きに影響が出ることがあります。

メラトニンはセロトニンを原料として松果体で合成されるので、セロトニンの働きが乱れると、メラトニンの分泌リズムにも影響が出ることがあります。

第三の理由 夜間に光に当たる時間が増えたため

第三の理由は、夜間に光に当たる時間、つまり光暴露時間の増加により、メラトニンの分泌量が減るためです。

多くの課題と責任を背負っている中年期には、仕事や家庭のことが気になり、ついつい夜中にもパソコンやスマホを見てしまいがちです。

Facebook、X、LINEといったSNSの普及も、この傾向に拍車をかけています。

なかには寝床に入ってからスマホをいじる人も少なくありません。

こうした行動が夜間のメラトニン分泌を抑え、睡眠障害の原因となります。

この理由は、パソコンやスマホ、タブレットなどの液晶画面から発せられる光が、体内時計に影響を与えるためです。

特に夜間に明るい光やブルーライトを浴びると、脳が「まだ昼間だ」と勘違いしやすくなります。

すると、メラトニンの分泌が抑えられ、夜中に脳や体が覚醒状態になり、交感神経が優位な状態になりやすくなります。

その結果、ますます睡眠障害を起こしやすくなってしまいます。

このような夜間の光暴露時間の増加は、中年期の仕事と家庭の条件に加えて、スマホやSNSの普及など、情報化社会の進展といった生活環境の変化も大きな原因です。

以上の3つの理由以外に、中年期にはうつ病や不安障害、睡眠時無呼吸症候群、頻尿、痛みなどによる睡眠障害もあります。

認識すべきは、中年期以降に睡眠障害が起きやすいのは、単に「歳をとったから睡眠力が落ちたのだ」というほど単純ではなく、それなりの理由があることです。

したがって、こうした背景、メカニズムをまず理解することが、睡眠障害を解決する糸口になります。

眠りの質を上げるには?

先にあげた不眠症の要因とメラトニン分泌の仕組みを考慮すると、眠りの質を上げるには次が有効と考えられます。

1.

入眠前2時間は「活動モード」から「リラックスモード」に切り換える

これは寝つきをよくするための対策です。

具体的には、次のような方法がお勧めです。

1ぬるめのお湯に浸かり、体をじっくり温める。
2仕事場とは別の場所で、照明を薄暗くして過ごす。
3照明は蛍光灯や白色LEDではなく、電球のような暖色系の間接照明にする。
4ブルーライトを浴びないため、パソコン、スマホ、タブレット、テレビなどを見ない。
5穏やかな音楽を聴く。静かなクラシックやヒーリング系の音楽がよい。
6カフェインのない温かい飲み物を飲む。
7アロマの香りを部屋に拡散するのもよい。

リラックスモード自然な眠気は、深部体温が下がり始めるときに起きます。

寝る前にぬるめのお湯に浸かったり、温かい飲み物を摂ったりして一度体を温め、その後に体温が下がっていくリズムをつくると、眠りに入りやすくなります。

飲み物は、温かい白湯や生姜湯、カモミールティーなどがよいでしょう。

カフェインを含むコーヒーや紅茶、緑茶、栄養ドリンクは、夜には避けるのが無難です。


2.

入眠前2時間はアルコール類を飲まない

睡眠2時間前は飲酒しないこれは中途覚醒を減らすための対策です。

この理由は2つあります。

第一の理由は、アルコールが中途覚醒の原因になるためです。

アルコール類を飲むと、中枢神経の活動が一時的に抑えられ、眠気を生じます。

寝つきをよくするために寝酒を飲むというのは、これを期待するからです。

しかし、アルコールは寝つきを一時的によくするように感じられても、睡眠の後半で眠りを浅くし、中途覚醒を起こしやすくします。

また、アルコールには利尿作用があるため、夜中に何度もトイレに行きたくなり、中途覚醒しやすくなります。

特に年配の方には、頻尿が不眠症の原因になることもしばしばです。

第二の理由は、アルコール分解後のアセトアルデヒドが睡眠の質を下げるためです。

アルコール類に含まれるエチルアルコールは肝臓で、まずアセトアルデヒドになります。

その後、アセトアルデヒドは酢酸になり、最終的にはエネルギーと水、二酸化炭素になります。

問題なのは、このアセトアルデヒドには毒性があることです。

二日酔いはこの物質が体内に残っていると生じ、しばしば不快な頭痛や吐き気などを伴います。


3.

入眠前2時間は激しい運動をしない

激しい運動をしないこれも寝つきをよくするための対策であり、中途覚醒を起こしにくくするための対策でもあります。

適度な運動により身体の疲労感があると、睡眠の質が上がります。

しかし、入眠前に心拍数を上げて息が上がるほどの運動をすると、交感神経が優位になり、体が覚醒状態となるため睡眠を妨げてしまいます。

夜のリラックスタイムには、ストレッチや呼吸運動主体のヨガなど、軽い運動を行うのがお勧めです。


4.

入眠前2時間は食事をしない

2時間前に食事をしない入眠前2時間以内に食事をすると、身体は消化吸収に集中することになり、睡眠時に脳や身体を休めにくくなります。

どうしても夜遅い食事になってしまう場合には、消化のよいものを少量摂るのがよいでしょう。

牛乳やヨーグルトなどの乳製品を少量摂るのも一つの方法です。

牛乳は秋から冬の季節には脂肪分が高くなるので、気になる人は低脂肪のものにしてください。


5.

自分に合った寝具を選ぶ

見落としがちな重要なポイントは枕です。

自分の体型に合わせて高さや形状、硬さを調節できる枕がお勧めです。

私もこれまでさまざまな枕を試してきましたが、自分の体型にパーソナライズできる枕が、首痛などを防ぎ、質のよい睡眠にとって有用です。

マットレスも重要です。

枕と同じように、自分の体型に合わせて高さや形状、硬さを調節できるものがお勧めです。

こうした特殊なマットレスは通常品に比べ高価ではありますが、眠りの質の向上を考慮すれば、決して高価な出費ではありません。


6.

昼寝をするなら午後3時までの20分程度にする

人によっては、午後の早い時間に眠気を催すことがあります。

その場合、20分程度の短い昼寝を行うことによって、頭をすっきりさせ、集中力や作業能力の低下を防ぐのがよいでしょう。

ただし、長時間の昼寝は深い眠りになってしまい、起きたあとにかえってぼんやりすることがあります。

また、午後3時以降の夕方に眠るのは、夜の睡眠の妨げになるので避けましょう。

最近は働き方改革の影響もあり、昼寝を奨励する職場も現れています。

オフィスに仮眠スペースを設ける会社も少しずつ増えています。

街中にも、短時間の仮眠スペースを提供するサービスが見られるようになりました。

とはいえ、基本は20分程度の短い昼寝が好ましく、夜の良質な睡眠を妨げるものは避けましょう。

食事やサプリでメラトニンの分泌を増やせるか?

メラトニンの原料はセロトニンなので、セロトニンを増やす栄養素を摂れば、メラトニンも増えるように思われます。

しかし、「秘訣その6」で説明したとおり、セロトニンの原料のトリプトファンを2倍摂っても、セロトニンの分泌量が2倍になるわけではありません。

ましてや、セロトニンを原料とするメラトニンは、それ以上に食事だけによって分泌量を増やすのは難しいでしょう。

一方、国によってはメラトニンがサプリメントとして販売されています。

アメリカではドラッグストアなどで販売されており、入手可能です。

しかし、日本ではメラトニンは一般のサプリメントとしては販売されていません。

現在、日本では、メラトニンを有効成分とする医療用医薬品が、小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善を目的として承認されています。

つまり、日本では自己判断でメラトニンをサプリのように使うものではなく、医師の判断のもとで使う医薬品と考えるべきです。

私も以前、アメリカのドラッグストアで買ったメラトニンを使ってみたことがありますが、まったく効果がありませんでした。

効果には個人差がありますし、体質や睡眠障害の原因によっても違います。

ドーパミンやセロトニン同様、この種の神経伝達物質やホルモンを増やそうと思うなら、薬やサプリメントに安易に頼るのではなく、生活習慣で分泌を促す、あるいはメラトニンの場合は分泌を阻害する要因を取り除くのが王道でしょう。

GABAを含む食べ物で睡眠の質が上がるか?

前出のGABAは、脳の興奮を抑える抑制系の神経伝達物質で、GABAが働くと脳の活動を休ませて眠りに導入しやすくなります。

前述のとおり、アルコール類を飲むとGABAなどの神経伝達物質の働きにも影響し、寝床についても中途覚醒が起きやすくなります。

では、このGABAを含む食べ物を摂ると、睡眠の質が上がるのでしょうか。

近年は、GABAを含む食品や機能性表示食品も増えています。

経口摂取したGABAについて、睡眠の質やストレス軽減などに関する研究も行われています。

一方で、GABAを食べたからといって、そのまま脳内のGABAとして直接届くかどうかについては、慎重に考える必要があります。

脳には血液脳関門というゲートがあり、血液中の物質が何でも自由に脳内へ入れるわけではないからです。

したがって、GABAを含む食品に一定の可能性があるとしても、「食べれば必ず眠れる」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。

眠りの質を上げる基本は、やはり夜の光、アルコール、カフェイン、食事、運動、ストレス、睡眠環境を整えることです。

眠りと覚醒の調整役「オレキシン」とは?

オレキシンメラトニン以外で近年注目されているのが「オレキシン」という脳内の神経伝達物質です。

オレキシンは、「視床下部外側野」という部位にある神経細胞が産生しており、食欲や報酬系に関わるほか、覚醒の維持にきわめて重要な物質です。

オレキシンが欠乏すると、人は覚醒を正しく維持できず、睡眠と覚醒の切り替えが不安定になります。

また、オレキシンをつくる神経細胞が消失すると、前述のナルコレプシーという睡眠障害につながることがわかっています。

オレキシンは、睡眠と覚醒のスイッチを安定させるうえで重要な役割を持っています。

この働きを利用して、現在ではオレキシン受容体拮抗薬というタイプの睡眠薬も使われています。

これは、覚醒を維持するオレキシンの働きを抑えることで、眠りに入りやすくする薬です。

従来の睡眠薬とは作用の仕組みが異なるため、睡眠医療の分野でも注目されています。

一方、オレキシンには食欲やエネルギー代謝との関係もあります。

オレキシンで覚醒が維持されると、人は食欲が増しておいしく食べるようになります。

しかし、長期にわたって観察すると、オレキシンの働きが強い人ほど痩せ、弱い人ほど太るという一見逆の結果が得られます。

この理由として、オレキシンには食欲を高める半面、基礎代謝を増やしてエネルギーを多く燃やす働きがあると考えられています。

その結果、消費するエネルギー量が、摂取したエネルギー量を上回って痩せるのです。

昼夜の生活リズムのメリハリが大きい人ほど、メタボになりにくいことが知られています。

これも昼間にしっかり覚醒し、夜にしっかり眠るというリズムが、代謝の維持に関わることを示しています。

「秘訣その4」で触れた代謝を上げる食事、「秘訣その6」で触れたリズミカルな生活習慣とも関連がありそうです。

眠りの質を高めることは、人生100年時代の土台になる

睡眠は、人生の3分の1を占める大切な時間です。

それにもかかわらず、多くの人は睡眠を後回しにしがちです。

仕事が忙しいから。

スマホを見ていたら遅くなったから。

寝酒を飲めば眠れると思っているから。

疲れれば自然に眠れると思っているから。

しかし、中年期以降は、若い頃のように多少無理をしても眠れるとは限りません。

加齢、ストレス、夜間の光、飲酒、運動不足、生活リズムの乱れなどが重なると、眠りの質は簡単に下がってしまいます。

だからこそ、眠りは意識して整える必要があります。

朝は太陽の光を浴びる。

日中は体を動かす。

夕方以降はカフェインを控える。

寝る前はスマホを見ない。

寝酒をやめる。

ぬるめのお湯に入る。

部屋を暗くして、リラックスモードに切り換える。

こうした小さな習慣が、睡眠の質を高めます。

そして、睡眠の質が高まれば、日中の元気、やる気、集中力、免疫、代謝、認知機能にもよい影響が期待できます。

人生100年時代を元気に生きるためには、よく動き、よく食べ、よく眠ることです。

なかでも睡眠は、心と体を毎日リセットする大切な時間です。

まずは今夜、寝る前のスマホを少し早めに手放すことから始めてみてください。

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