年齢相応の食事とは?中年期と高齢期で変わる栄養と食生活の考え方

秘訣その4 年齢相応の食事をする

中年期と高齢期では摂るべき栄養が変わる

摂るべき栄養が変わる 前述のとおり、栄養はスマート・エイジングのための4条件の一つです。

自分の状態に合わせて、いかにバランスのよい栄養を毎日の食事から摂るかが重要です。

まず、認識すべきことは「中年期と高齢期とでは摂るべき栄養が変わる」ということです。

この理由は、一般に壮年から中年期においては栄養過多が寿命を縮め、高齢期においては栄養不足が心身機能を衰弱させるからです。

これは医学・栄養学の分野ではよく知られていることですが、一般の方にはご存じでない方も多いと思います。

中年期の方の多くには、若い頃に身につけた「がっつり系」の食生活が染み付いていて、なかなかそのクセが抜けません。

ところが、体のほうは歳をとるにつれて、それほどカロリーや糖質を必要としなくなっています。

にもかかわらず、若い頃と同じような調子で、ついつい飲食してしまいます。

また、一般に若い頃に比べて運動量が減っており、そのうえ、さまざまなストレスが増えています。

このような背景で多くの中年期の方は、中年太り、いわゆるメタボになってしまいます。

この状態が続くと、体のあらゆる場所を傷つけ、寿命を縮めていくのです。

一方、高齢期の方の多くは、とりわけ70代以降になると、中年期とは逆にあまり食べなくなったり、偏食したりして、必要な量の栄養が足りず、体が衰弱していく例が多く見られます。

なぜ、メタボは体に悪いのか?

メタボさて、中年期の食事について話を戻します。

この年代の方々は、食事の量は若い頃より少なくてもよいのに、7分目、8分目、ときには10分目以上まで食べて飲んでしまいがちです。

こうした食べすぎ、飲みすぎの生活を続けることで、いつしか体はメタボに陥っているのです。

メタボとは、厚生労働省の説明によれば、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態を指します。

単に腹囲が大きいだけでは、メタボリックシンドロームとはいえません。

日本では、ウエスト周囲径が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、さらに血圧、血糖、脂質のうち2つ以上が基準値から外れている場合、メタボリックシンドロームと診断されます。

内臓肥満とは、腸の周辺とお腹の内臓同士の間の空間、つまり腹腔に脂肪がたくさんついた状態のことです。

それに加えて、高血圧や糖尿病、脂質異常症などが重なり、生活習慣病につながっていきます。

この内臓脂肪が、体にさまざまな悪影響を及ぼします。

内臓脂肪がつくと、見た目が太ってくるだけではなく、体に悪いホルモンなどが多く分泌されるようになります。

このため、内臓脂肪がつくと、ますます体に脂肪がつきやすくなるという悪循環に陥ります。

こうして内臓肥満となり、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化などを起こしやすくなります。

メタボは「未病」の典型である

皆さんは「未病」という言葉を聞いたことがありませんか。

これはもともと日本語にはなく、中国最古の医学書と言われる『黄帝内経』のなかに出てくる言葉です。

未病とは文字どおり「未だ病にあらず」という意味です。

「体の中にすでに病があるのに、その症状がまだ出ていないために病気の自覚がない」、または「発病前の軽い症状しかまだ出ていない状態」を表します。

問題なのは前者で、自分は健康だと勝手に思い込んで、検診や人間ドックを定期的に受けていないので病気の自覚がないが、実際は病気が進行していることです。

中年期の方々には、こういう例が非常に多い。

メタボというのは、いわばこの「未病」の典型です。

メタボを改善する、あるいは予防するには、まず自分の体が必要とする以上の糖質や脂質を摂らないことが重要です。

ところが、そうだとわかっていても、いろいろな理由をつけて摂ってしまう人が多いのです。

高齢期のサルコペニアは低栄養が原因

低栄養一方で高齢期の方では、運動不足で代謝が落ちたり、腰が曲がったりしたせいで食が細り、必要な栄養が足りず、体が衰弱していく人が多いようです。

近年は、肉を食べるお年寄りは長生きするとも聞くようになりました。

以前は、高齢者は肉など食べる必要はない、魚のほうがいいなどと言われることもありました。

しかし、現在の高齢期の栄養では、肉か魚かという単純な話ではなく、必要なエネルギーとタンパク質をしっかり摂ることが重視されています。

いずれにしても問題は、多くの高齢者が自分の体が必要とする「栄養バランス」を自覚していないことです。

特に団塊世代より上の世代の男性は、自分で台所に立って料理をするという習慣がなく、料理は奥さん任せという人が多いです。

奥さんが料理を作ってくれるうちはいいのですが、奥さんに先立たれたり、何かの理由で別居したりすると、毎日の食事が店屋物やコンビニの弁当ばかりになり、栄養バランスの悪い、とても貧弱なものになりがちです。

これが、「秘訣その2」で触れた「サルコペニア」という症状につながります。

サルコペニアとは、加齢や病気により筋肉量が減ることです。

腕や手の筋力低下により握力が落ちたり、下半身の筋肉が減って歩くスピードが遅くなったり、杖や手すりがないと歩けなくなったりといった、身体機能の低下が起こることです。

低栄養はフレイルにもつながる

サルコペニアの原因には、加齢や運動不足があげられます。

しかし、実は先に説明した「低栄養」、つまり栄養不足が大きな原因となっています。

高齢者にとって低栄養は、筋肉量や筋力の低下、骨量の低下、転倒や骨折のリスク増加につながります。

さらに、食事量が減り、筋肉が減り、外出が減り、また食欲が落ちるという悪循環に入りやすくなります。

これが進むと、心身が弱った状態である「フレイル」につながっていきます。

特に目立った男女差はありませんが、食べ物や栄養に無頓着なのは、この世代ではどちらかというと男性なので、低栄養は男性のほうが目立つ場合もあります。

また、歯の本数が減ったり、入れ歯のために食事がよく噛めなくなったり、足腰が衰えて買い物に行くのが面倒で手持ちの食品ですませたりすると、栄養バランスが崩れやすくなります。

筋肉が衰えると足腰が弱ります。

  1. 外出が億劫になり、買い物に出かけるのが面倒くさくなる
  2. 食事の質が下がって低栄養になる
  3. 運動もしないので、さらに筋肉が衰えていく

このようにして負のスパイラルに陥っていきます。

インターネットを使える人であれば、パソコンやタブレット、スマホで、ネットを使って食品を注文して家に届けてもらうこともできます。

以前に比べれば、高齢者でもスマホを使う人は増えました。

しかし、今の75歳以上では、まだ十分に使いこなせない人も少なくありません。

ですから、「秘訣その2」で説明したとおり、筋トレを行うのが重要ですが、同時に筋肉のもとになる必要なアミノ酸を摂ることも重要です。

高タンパク質多数のアミノ酸が結合したものがタンパク質です。

高齢者こそ積極的に肉や魚などのタンパク質を摂り、さらに豆腐や納豆といった植物性タンパク質もたくさん摂る必要があります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準 2025年版」でも、成人・高齢者のタンパク質について、体重あたりの必要量をもとに基準が示されています。

特に高齢期には、食が細くなって自然に食事量が減りやすいので、毎食の中でタンパク質を意識して摂ることが大切です。

私はどうやって糖尿病から快復したのか?

ここで、私がどういう食事で糖尿病から快復したのかをお話しします。

ここからは、恥を忍んで私が身をもって体験したことを書くことで、読者の皆さんに、たとえ糖尿病になっても、しっかり対策をとれば改善を目指せるということをお伝えします。

私は2018年2月中旬、1年半ぶりに人間ドックを受けました。

前回受けてから1年半も間隔が空いたのは、仕事が忙しいのを理由にサボっていたからです。

もう一つ言い訳をすると、ここ数年人間ドックを受けても、出てくる検査結果が毎回ほぼ同じだったこともあります。

脂肪肝があって、この項目がCで、あの項目がDでと、ほぼ同じ。

受診してもどうせ結果は今までと変わらないだろうと勝手に思っていました。

ところが今回は、人間ドックの結果、糖尿病の疑いがあり「要精密検査」の判定が出てしまいました。

私は先に述べた「未病」だったのです。

とはいえ、例によって仕事が忙しく、すぐに再検査を受けられませんでしたが、ようやく3月上旬に糖尿病の精密検査を受けました。

その結果、生まれて初めて糖尿病だと診断されました。

その後、過去の結果を改めて確認すると、1年半前に受けた前回の人間ドックで、HbA1cという糖尿病の度合いを示す数値が、健康と糖尿病の境界に近い状態だったことに気がつきました。

相撲でいえば徳俵に足がかかった状態です。

そうであったにもかかわらず、あまり気に留めていませんでした。

当時はその数値の意味を理解していなかったからです。

それが今回の診断の結果、HbA1cの数値が6.6でした。

現在、日本糖尿病学会の診断基準では、HbA1c 6.5%以上が糖尿病型の目安の一つとされています。

ただし、糖尿病の診断はHbA1cだけでなく、血糖値なども含めて医師が総合的に判断します。

私の場合、6.6なら比較的軽症とのことで、医師からは「薬を使わずに食事と運動で改善していきましょう」と言われました。

ちなみに、この程度の糖尿病の患者にもすぐに薬を出す医師も多いとのことですが、私の担当医は大変良心的でした。

生活習慣を変えるきっかけになった糖尿病診断

糖尿病再検査前述したように、以前からなんとなく自分の体の調子があまりよくないことは自覚していました。

若い頃に比べていつも体がダルくて疲れやすく、このままではヤバいと思っていました。

でも、「まあいいや、まだ大丈夫だろう」とタカをくくっていたわけです。

それが今回の人間ドックで医師から「あなたは見事に糖尿病です」と言われて、ガツンと殴られた感じでした。

これはヤバいな、本気で改善しないといけないという気持ちにようやくなったのです。

人はどのようにすれば意識変容を起こすのかという、マーケティングでよく問われるテーマがあります。

その極端な例の一つとして、命の危険を感じたときがあげられます。

それが私にも起こったわけです。

私の場合は糖尿病なので、明日、明後日に死ぬといった命の危険が差し迫っていたわけではありません。

しかし、生まれて初めて診断されたという事実と、それが引き起こす合併症状の兆し、さらには糖尿病だと認知症のリスクが高くなることが疫学研究からわかっていることから、これを機会に自分のこれまでの悪しき生活習慣を徹底的に改善しなくてはいけないという強い気持ちになったのです。

そこで、次の4つのことに取り組みました。

取り組み1

スポーツジムに週3回通う

スポーツジムに週3回通う

実際は仕事の都合などで3回行けないこともありました。本来は隔日で通うのが理想的ですが、週の最初の3日間通って、残りの3日間は行かないこともありました。

それでも平均すると、ほぼ週3回は通い続けました。

実はそれまでもスポーツジムの会員になってはいたのですが、会費を自動引き落としされるのに、ほとんど通ってなく、まったくの金の無駄遣い状態でした。スポーツジムにとっては、私はとてもありがたい客だったと思います。

取り組み2

食事のカロリー摂取量の制限

食事のカロリー

1日あたりの摂取量を1500キロカロリー程度に抑えました。

これを始めた当初はきつかったのですが、慣れてくると耐えられるようになります。

これを絶対やらないといけないという危機感が継続できた理由でしょう。

取り組み3

間食をやめる

間食をやめる

私はそれまでは毎食後に必ずデザートを食べていました。仕事の途中もアイスクリームやチョコレート。

余談ですが、私のオフィスの隣の部屋の冷蔵庫に以前はそういったものがたくさん入っていました。今はほとんど入っていません。

取り組み4

夜の飲酒を極力やめる

夜の飲酒を極力やめる

どうしても避けられない夜のお付き合いのときだけはやむを得ず飲みましたが、飲んだフリをしてあまり飲まないようにしていました。

また、食べるつまみの選択に気をつけました。カロリーが多めのものや脂っこいものは極力避けました。

「はじめに」で触れたとおり、以前であれば仕事を終えて帰宅したあとも、翌朝までに資料を作る必要がある場合は、疲れた体にムチを入れるために、体へのガソリンのつもりで酒を飲んで、その勢いで資料作りをすることもしばしばでした。

しかし、夜遅くに酒を飲んで、アルコールの作用でその瞬間には体内に勢いが出たような気になっても、実はそれはごまかしに過ぎません。

むしろ夜の飲酒には弊害のほうが多い。

一番は睡眠の質が落ちることです。

特に中途覚醒が起きやすくなります。

これは「秘訣その7」で改めてお話しします。

私はどのような食事を実践したのか?

ここで、私が実践した食事についてさらに詳細を説明します。

 

1.

必ず一日三食食べ、主食は玄米を摂る

玄米食事を抜いたりせず、一日三食必ず食べますが、基本的に主食は玄米。

ただし、量はお椀に半分以下です。

外食時は、玄米を出さない店では白米を食べますが、注文時に「ご飯はお椀の4分の1にしてください」と必ず言います。

「少なめ」と言っても、店員さんはかなりご飯を盛ってきます。

小盛りで、と頼んでも、普通の一膳より多く出てくることがあります。

だからご飯の量を具体的に指定します。

一方、時々極端なカロリー制限や糖質制限をする人がいますが、主食をまったく摂らないというのも考えものです。

ご飯やパンには糖質が含まれていますが、ある程度の糖質は体に必要です。

それは簡単な理由で、私たちの脳の主なエネルギー源はブドウ糖だからです。

ブドウ糖が少ないとガス欠状態になり、体がフラフラして活動ができなくなってしまいます。

だから、主食はある程度は摂らないといけません。

食事制限をする場合のコツは、量を減らす代わりに、米であれば玄米、パンであれば全粒粉を使った、なるべく腹持ちのいいものを主食にすることです。

逆に小麦粉を白く精製して作った食パンや、砂糖のかかった甘いパンは避けましょう。

パンを食べるなら、全粒粉を使ったパンがよいです。

現在は以前よりも、玄米や全粒粉のパン、低糖質を意識した食品は増えてきました。

ただし、コンビニや外食では、まだ白米や精製されたパンのほうが主流です。

ですから、選べるときは自分で意識して選ぶことが大切です。


2.

緑黄色野菜をたくさん摂る

緑黄色野菜野菜はたくさん摂ります。

特に緑黄色野菜が重要です。

例えば、ほうれん草、ピーマン、ニンジン、トマト、ブロッコリー、カリフラワー、アスパラ、小松菜などが含まれます。

もちろんキャベツやレタスもいいのですが、緑黄色野菜のほうがいろいろな種類のビタミンが豊富に含まれています。


3.

タンパク質を十分に摂る

タンパク質料理私の場合は、基本的には魚介類が中心でした。

ただし、脂質の少ない肉も摂りました。

牛肉や豚肉ならヒレ、鶏肉なら胸の部分です。

一方、豆腐、納豆、豆類といった大豆食品、つまり植物性タンパク質は多く摂りました。

タンパク質はなるべく植物性を多く摂ったほうがいいともいわれますが、例えば魚介類はタンパク質以外にも、いろいろと体によい栄養分が含まれています。

ですから、あまり厳密にしすぎず、ある程度、余裕のある食生活にすることも大切です。


4.

海藻・きのこ類も多く摂る

キノコ海藻類海藻・きのこ類は、ミネラル分が豊富ということもありますが、カロリーが低いのにかさが多いので、お腹を膨らませることができます。

食事制限をすると空腹感がつらくなりがちですが、海藻やきのこ類をうまく使うと、食事全体の満足感を保ちやすくなります。


5.

カロリーが高くて糖質の多いものは控える

高カロリーを控えるとんかつ、天ぷら、カレー、ラーメン、フライドポテトなどは、できるだけ控えました。

これらは外食に多いメニューです。

多くの外食は、いかに糖質を多くして、満腹感を出すかが優先されがちです。

そうでないと「あの店は量が少ない」などと言われて、客が来なくなるからです。

言い換えると、何も考えずに外食ばかりしていると、健康のための食事からは遠ざかりやすいのです。

ですから、毎日外食する現役ビジネスパーソンは、食事の際に工夫が必要になります。

基本的には、鯖の塩焼きのような和定食を中心にして、ご飯の量はお椀の4分の1程度にします。

やむを得ず丼物を食べるときは、ご飯を半分以上残します。

余談ですが、最近はコンビニも利用者の健康志向をかなり意識するようになっています。

タンパク質を意識した惣菜、野菜を多く使ったメニュー、糖質やカロリーを抑えた商品など、以前よりも選択肢は増えています。

ただし、選択肢が増えたからといって、何を選んでも健康的というわけではありません。

やはり、自分で栄養表示を見たり、揚げ物や甘いものに偏らないようにしたりする意識が必要です。

筋トレで筋肉をつけて体の基礎代謝を上げる

筋トレ食事制限以外で日常的に行ったのが運動です。

スポーツジムに週3回は通うようにしました。

ジムで行っていた運動は、基本的には筋トレと有酸素運動、そしてストレッチです。

ジムではまず10分間の自転車こぎをやります。

これは「秘訣その1」で説明した有酸素運動にあたります。

自転車のあとは、筋肉を鍛えるマシントレーニングです。

マシンにはさまざまな種類があり、どこの筋肉を鍛えるかがマシンによって機能的に分かれています。

私は上半身と下半身、そして体幹部を鍛えるマシンで筋トレをしました。

これらのマシンは、多くのスポーツジムにあります。

マシンでの筋トレが終わったら、ランニングマシンの上を30分間早歩きして、最後にストレッチをしてトレーニング終了です。

ここまでトータルで1時間半くらい。

有酸素運動や筋トレだけではなく、ストレッチも重要です。

特にトレーニングが終わったあとにやらないと脚に疲れが残るので、必ず最後にストレッチで体を伸ばすことが大切です。

スポーツジムに通う回数を週3回にしたのも理由があります。

筋肉は筋トレなどで運動負荷をかけると、筋繊維に細かな損傷が起こります。

それが回復する過程で、筋肉が以前より強くなっていきます。

これを一般に「超回復」といいます。

そのため筋トレは、毎日同じ部位を続けてやるよりも、2、3日間隔を空けてやるほうが効果的です。

この方法は、スポーツ選手などのアスリートの鍛え方とは異なります。

アスリートは体を鍛える目的が、私たち一般人とは違うからです。

私たち一般人は、歳をとって落ちてきた筋肉を元に戻して、体の基礎代謝を上げ、食べても太りにくい体質にするのが第一の目的です。

自転車こぎや早歩きのような有酸素運動の効果は、「秘訣その1」で述べたように、まず内臓脂肪を分解することです。

そして筋トレで体に筋肉がついてくると、基礎代謝が上がります。

基礎代謝が上がると、体内に取り入れたエネルギーが熱に変わりやすくなります。

すると、たくさん食べても太りにくくなります。

逆に、運動しないで体の基礎代謝が落ちてくると、ちょっと食べてもすぐ太り、内臓脂肪がつきやすくなります。

すると、ますます太りやすくなるという悪循環に入ります。

この悪循環に入ると、元に戻すのは容易ではありません。

したがって、「あなたは糖尿病です」という診断結果のような、ガツンとしたショックが必要になるのです。

私は、食事制限とスポーツジムでの運動、そして日常生活での運動で、体重が開始後2カ月で9キロ、4カ月で13キロ落ちました。

これはかなりのハイペースなので、体によくないと言われるかもしれません。

しかし、悪循環から脱出するには、このように集中して一気に改善するほうが効果的な場合もあります。

ただし、持病がある方や大幅な減量を目指す方は、自己判断だけで進めず、医師や管理栄養士に相談しながら行うことが大切です。

糖尿病から快復したら目の不具合も快復

糖尿病食事制限と運動で体重を落としたうえで、糖尿病と診断されてから4カ月後に再検査を受けました。

すると、血液中のHbA1cの数値が5.8まで下がっていました。

実は診断から2カ月後にも計っていたのですが、そのときは6.0でした。

6.0では正常と糖尿病型との境目に近いので微妙ですが、5.8まで下がったので、医師に「もう糖尿病じゃないといってもいいですよね?」と聞くと、「これでしたらいいでしょう」と言われ、安堵しました。

今回のことで私が身をもって学んだのは、糖尿病のような生活習慣病は、その名のとおり、悪しき生活習慣を続けると発症することです。

一方で、悪しき生活習慣を改善すれば、体は健康に戻っていくことも実感しました。

今後の課題は、改善した生活習慣を継続することです。

糖尿病からの快復プロセスで起こったもう一つの大きな変化は、「はじめに」で触れた、不具合の出た左目が快復したことです。

食事制限と運動を始めてから約2カ月後の5月下旬には快復傾向が見られ、5月末にはほぼ完治しました。

医師からは完治までに数カ月から半年かかると言われ、「この状態が半年も続くのか、大変だな」と思っていたので、これは嬉しい驚きでした。

快復した理由は、糖尿病状態だった体が改善したことで、目の末梢神経の破壊された部分が復元したためのようです。

糖尿病から快復してからは、スポーツジム通いの頻度が少し減りましたが、日常生活での運動は今も続けています。

家から駅までは、原則自転車です。

スーツ姿でなければ駅まで歩くのですが、特に夏は歩くと大量の汗をかくので、自転車にしています。

駅ではエスカレーターに乗っても必ず右側を早歩き。

私のオフィスがあるビルでは、1階から4階まで階段を上っています。

これらは徹底してやっています。

歩くときは基本的に早歩き、エレベーターは使わない。

エスカレーターは乗っても必ず早歩き。

タクシーにはよほどでない限り乗らなくなりました。

基本的には電車で移動します。

こうした生活習慣が身体化されました。

これらの改善に伴い、従来血液検査結果の多くの項目が「要観察」「要再検査」のオンパレードだったのが、今はすべての項目で「問題なし」となりました。

これは想定外でしたが嬉しかったです。

余談ですが、こういう想定外の嬉しいことが起こると、「秘訣その5」で触れますが、ドーパミンが脳内に出て、さらにやる気が出るのです。

命が危うくなって知る健康のありがたさ

健康のありがたさ左目に不具合がある間は、生活していくうえでさまざまな不便がありました。

自転車に乗っていたときに進行方向左手から別の自転車が突っ込んできたのが見えずに衝突されたり、レストランで床の小さな段差が見えずに転びそうになったり、身の危険を感じたことが何度もありました。

もちろん自動車の運転もできませんでした。

不具合の原因が糖尿病だとわかったことで、下手すると失明するかもしれないという強い危機感がありました。

逆にそれが、生活習慣を改善しようという強い意欲になったのです。

変な言い方ですが、病気になり、自分の命が危うい体験をした後に快復したときに、健康のありがたみを一番感じる気がします。

ここまで述べた食生活の改善体験は、あくまで私の個人的なものです。

ですが、運動も含めて多くの人に当てはまる普遍的なものだと思います。

仕事に忙しい現役ビジネスパーソンが糖尿病になってしまったとき、仕事をしながら早期に改善を目指していくために、私が行ったことが役に立つと思います。

年齢相応の食事が健康寿命を伸ばす

ここまで見てきたように、食事は年齢によって考え方を変える必要があります。

中年期は、食べすぎ、飲みすぎ、糖質や脂質の摂りすぎに注意する。

高齢期は、食が細くなりすぎないようにし、タンパク質やエネルギーをしっかり摂る。

この切り替えが大切です。

いつまでも若い頃と同じ食べ方をしていれば、メタボや糖尿病のリスクが高まります。

反対に、高齢期になって食べる量が減りすぎれば、低栄養、サルコペニア、フレイルのリスクが高まります。

人生100年時代を元気に生きるためには、年齢相応の食事を意識することです。

中年期には、腹八分目を心がけ、主食の量を調整し、野菜、魚、大豆食品、海藻、きのこ類を増やす。

高齢期には、肉、魚、卵、大豆食品などからタンパク質をしっかり摂り、筋肉を落とさないようにする。

こうした食事が、健康寿命を伸ばすうえで大きな力になります。

食事は毎日のことです。

だからこそ、少しずつ整えていくことで、10年後、20年後の身体に大きな差が出ます。

その積み重ねが、人生100年時代を元気に生きる土台になるのです。

スマート・エイジングについてより深く知りたい方は、村田裕之の講演会をご覧ください。講演会では、さらに興味深い動画やグラフをお見せして、
秘訣を実践を交えてわかりやすくお話ししています。