中高年に有酸素運動が必要な理由|生活習慣病予防と健康寿命を伸ばす...

秘訣その1 有酸素運動をする

要介護になる原因の上位は何か?

要介護になる原因の上位は何か?元気でいるために、つまり活動的に過ごせるためには何が必要でしょうか。

それは、要介護・寝たきり状態ではなく、自分の力で自立して活動できる身体の健康です。

厚生労働省の資料によれば、75歳を過ぎたあたりから要介護認定率は急上昇していきます。85歳以上になると、半分以上の方が要介護(要支援も含む)状態になります。

この話をすると「それは75歳以上の人の話ですね」と言う人が、特に男性に少なからずいます。しかし、実は75歳以前の早い段階から要介護予備軍とも言うべき体の状態になっている人が多いのです。

つまり、75歳を過ぎてから急に要介護予防を意識するのではなく、中年期を過ぎたら要介護状態になる原因を知り、予防的な生活習慣を身に着けることが大切なのです。

では、要介護状態になる主な原因は何でしょうか。

厚生労働省の2022年「国民生活基礎調査」によれば、介護が必要になった主な原因の一番目は「認知症」です。二番目が「脳血管疾患」、つまり脳卒中です。三番目が「骨折・転倒」、四番目が「高齢による衰弱」、五番目が「関節疾患」です。

脳卒中には、主に脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があります。一方、骨折・転倒、関節疾患は「運動器障害」と呼ばれるものに関係します。近年は「ロコモティブシンドローム」とも呼ばれています。運動器とは、体の運動に関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称です。

歳をとるにつれて、こうした運動器に不具合が出てきます。また、骨折・転倒は、運動器障害の結果として起こることが多いものです。

ここまでの話で明らかなように、要介護状態になる原因の上位は、脳と運動器に関わるものです。ということは、これらを健康に維持できれば、かなり多くの場合で要介護状態にならずに過ごせる可能性が高くなるということです。

介護期間は長くなりやすい

介護期間は長くなりやすい要介護状態になると大変なのは、介護期間が長くなりやすいことです。

公益財団法人生命保険文化センターの2024年度調査によれば、介護をする人が介護を行った期間の平均は55.0カ月、つまり4年7カ月です。

一方、4年を超えて介護した人は約4割います。10年以上続くことも珍しくありません。私の母は12年、友人には15年以上続いた人も珍しくありません。

これで誰に一番負担がかかったかといえば介護をした人で、多くの場合は家族です。

ですから家族のためにも、私たちはできるだけ健康でいることが求められます。

有酸素運動は生活習慣病改善・予防の第一歩

生活習慣病さて、脳卒中の原因の多くは「生活習慣病」です。

生活習慣病とは、糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症など、生活習慣が発症原因に深く関与している病気の総称です。

ちなみに、生活習慣病と肥満が複合する状態を、医学的には「メタボリックシンドローム」、通称メタボ、内臓脂肪症候群と呼びます。

ここで生活習慣とは、運動習慣、食事習慣、飲酒習慣、喫煙習慣などを主に指します。生活習慣病は、運動不足・偏った食事・過度の飲酒・喫煙・ストレスなど、日々の生活における習慣が原因です。

したがって、こうした生活習慣を改めることが、生活習慣病の改善・予防になります。

そこでまずお勧めしたいのは「有酸素運動」です。

一番手軽な有酸素運動はウォーキング

エアロビクス有酸素運動とは「エアロビクス」ともいいます。

酸素を体にしっかりと取り込みながら、負荷の軽い運動をゆっくりと時間をかけて行うことです。

有酸素運動で一番手軽なのは、ウォーキング、つまり歩くことです。

厚生労働省の「身体活動・運動ガイド2023」では、成人は1日8,000歩、高齢者は1日6,000歩を目標としています。

ただし、これまでウォーキングをあまりしていない人は、最初からこの歩数を目指す必要はありません。まずは、1日30分程度のウォーキングからでも十分です。

たいした道具も必要なく、手軽にできます。実際、年配の方には早朝や夕方にウォーキングを実践されている方が多いです。

有酸素運動は脂肪燃焼に役立つ

有酸素運動の最大の利点は、脂肪燃焼効果があることです。

これが糖尿病や脂質異常症の改善・予防に有効なのです。

有酸素運動というのは、体の中に酸素を取り込んで脂肪を燃焼し、二酸化炭素と水に分解するプロセスです。

そのときに重要なのは心拍数です。

これは年齢によって異なりますが、たとえば50代の方の場合は、心拍数が100〜110程度のときに脂肪が燃えやすいとされています。

あまり負荷をかけすぎず、会話を楽しめる程度の余裕を持って取り組むことがコツです。

歩くこと以外に、ゆっくりジョギングするのもいいですし、水泳もいいです。

ただし、水泳の場合は極力ゆっくり泳いでください。ハイペースでクロールなどを泳ぐと、有酸素運動ではなく、無酸素運動になってしまう可能性が大です。

これは心肺機能を高めるにはよいのですが、脂肪はあまり燃えません。

中年期を過ぎたら、普段から激しい運動をしている人は除いて、ハイペースで激しく運動する必要はありません。

ゆっくりとリズミカルに歩くのがいいのです。

運動は日常生活に取り入れるのがコツ

エスカレーターを使わず階段を歩くとはいえ、中高年のビジネスパーソンには、
「有酸素運動が体にいいことはわかっているけど、仕事が忙しくてなかなかできないんだよな……」
という人も多いでしょう。

実は私もそうでした。

しかし、いろいろと工夫することで可能となります。

以下は、糖尿病と診断された後に私が実際に行ったことです。

  1. 最寄りのスポーツジムに週3回通う。
  2. 自宅から最寄り駅まで、雨天時以外は自転車で移動する。
  3. エスカレーターを使わず階段を歩く。エスカレーターを使う場合は右側を速足で歩く。
  4. エレベーターは使わない。なるべく階段を歩く。
  5. 仕事で移動の際も極力電車を使い、タクシーにはなるべく乗らない。

これらの実践により、食事の工夫も併せてですが、2カ月で9キロ、4カ月で13キロの減量に成功しました。

減量成功のカギは「日常生活のなかに運動を取り入れること」です。

現役ビジネスパーソンの場合、仕事が忙しいと、週2回スポーツジムに通うのも難しい場合があります。

そんなときでも、普段の生活のなかで有酸素運動を「習慣化」しておけば、確実に成果を出すことができます。

無理なく続けることが、身体的な自立につながる

中高年からの運動で大切なのは、無理をして頑張ることではありません。

大切なのは、続けることです。

毎日完璧にやろうとしなくても構いません。

歩ける日は歩く。階段を使える日は使う。移動のついでに身体を動かす。そうした小さな積み重ねが、10年後、20年後の身体をつくっていきます。

人生100年時代を自分らしく生きるためには、身体的な自立が欠かせません。

その第一歩として、まずは今日から「少し多く歩くこと」を意識してみてください。
Faq

よくある質問

Q有酸素運動は一日どの程度行うのがよいですか
A

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」によれば、高齢者は1日40分以上(約6,000歩以上)、成人は1日60分以上(約8,000歩以上)の歩行または同等以上の身体活動を推奨しています。

理想的には一回に40分連続して行うのがよいですが、最近の研究では一回10分の運動を一日4回行う手順でも効果があるとされています。

Q高齢者がウォーキングを行う時に気を付けるべきことは何ですか
A

まず、サンダル履きではなく、運動用シューズを履きましょう。朝夕にウォーキングをする高齢者の方を多く見かけますが、サンダル履きの人が結構います。これだとテンポよく歩けず、有酸素運動としての効果が下がります。また、つまずきやすいため、転倒・骨折の可能性が高まり危険です。

次に、だらだら歩きをせずに、少し早めのテンポで両手を振ってリズミカルに歩きましょう。犬を連れて散歩する人も多く見かけますが、これはあくまで散歩であり、有酸素運動としての効果は少なくなります。

Qウォーキングの代わりに水泳でもよいですか
A

水泳でもよいです。ただし、激しく泳ぐと無酸素運動になる可能性があるので、ゆっくりと楽に泳ぐことをお勧めします。

スマート・エイジングについてより深く知りたい方は、村田裕之の講演会をご覧ください。講演会では、さらに興味深い動画やグラフをお見せして、
秘訣を実践を交えてわかりやすくお話ししています。