アメリカではスミスやウォルドマンのように50代から60代で大企業を辞め、リタイアするのではなく、独立して会社を起こし、働き続ける「ナノコーポ」が増えている。ナノコーポ(nanocorp)とは、微細を意味するナノと法人のコーポレーションとの造語だ。
(中略)
アメリカで50代から60代で大企業を辞め、ナノコーポになる人が増えているのには需要側と供給側に理由がある。 需要側の理由としては、
@ 老後も働き続けたいと思う人が増えていること
A 老後も働き続けなくてはいけない人が増えている
ことがある。
(中略)
一方、供給側の理由として、次の3つがあげられる。
B それなりの収入を得て、働き続けたくても、働く機会・受け皿が少ない
C 従来型企業は、売上や組織を拡大する志向が強く、自分のやりたいことを自分のペースでやれる自由度が少ない
D 会社の買収・合併が頻繁に起こるため、マネジメント体制の変更によって経営方針も変わり、上司の意向に振り回されてしまうことが多い
(中略)
こうした経営原理が近年台頭してきた背景には、従来型工業社会における経済効率至上主義に対する反動がある。特に、規模の拡大による効率化を求めてM&Aが頻繁になされるようになり、企業の買収・合併が日常茶飯事になってきたことと深く関係がある。

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