人生の成熟期の対処法を 教えてくれる学校はない
子供から成人への成長期には、小学校から大学まで必要な基礎知識や学力を身につけるための教育の場が整備されている。
ところが、成人から中高年への成熟期には、自分の生活防衛のための知識や、より良い後半生を過ごすための対処法を身につけるための教育の場は、残念ながらほとんどない。したがって、こうした知識や対処法は独力で学ぶ以外に方法がない。
一方、こうしたことを学ぼうと思って書店に行くと、「相続」「介護」「老人ホーム」「成年後見制度」といった個別テーマによる専門書は数多く存在している。ところが、これらのテーマは相互に深く関係があるにも関わらず「高齢の親とその家族が遭遇しうる諸問題」といった視点で、これらの個別テーマの勘所を横串にした書物は、なかなか見つからないのが現状だ。
現役世代が、生活防衛のために、より良い人生を送るために、どんなアクションが必要なのか、その理由は何か、を包括的に整理した書物が意外に少ないことに私は気がついた。もしかしたら、先に挙げた私の知人が知りたいと思っていることは、彼以外の多くの現役世代の人も知りたがっているのではないか―本連載では、紙面に限りはあるが、次回以降そのことについて述べていきたい。
(本文より抜粋)
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