「技術」を使った「革新」のあるべき姿
 
 

2011年6月6日 Vol. 153

村田裕之
 

「技術(technology)」は、しばしば商品やサービスの
「革新(innovation)」のカギとなります。

しかし、高度な「技術」を用いただけで商品やサービスの
「革新」が必ずしも起こるわけではありません。

例えば、介護ロボットの分野にその典型が見られます。

この分野では、すでに多くのロボットが開発され、
商品化されているものもあります。

(介護ロボットの例)
http://www.youtube.com/watch?v=lQrTC579rjg&feature=fvwrel
http://www.youtube.com/watch?v=NSDGNk990z0

ところが、私が知る限り、その多くには、
使える場所が少ない、ほこりに弱く故障しやすい、
メンテナンスが面倒、価格が高い、
といった共通の課題が見られます。

そして、これら以上に致命的なのは、
介護という生身の人間を扱う作業の担い手としては
あまりに「機械的」で、気味が悪いことです。

これらの課題を乗り越えられない理由は、
商品開発者と利用者とのギャップです。

利用者は「問題の解決策を求めている」のに、
開発者は「技術を売りにしたがる」ためです。

一方、産業技術総合研究所が開発した
PAROというロボットは、こうした介護ロボットと
異なるアプローチを取った例です。

見かけはアザラシの子供のようで、
実際アザラシのような鳴き声を発します。

http://www.youtube.com/watch?v=4R6ekzB1ouQ

このPAROをペットの代わりに購入する人が
少なからず存在します。

購入の理由は、動物でないために、
旅行やレストランに連れていける、死なない、
えさがいらない、といった利点のためです。

しかし、もっと大きな理由は、
「動物のように可愛い」「家族のように感じる」
からだそうです。

動物ではないロボットを、
「技術」の力で動物らしくする。

「技術」が「技術」として見えるのは
本当の技術革新ではない。

本当の技術革新とは、
技術の存在を意識させないことと知る。

 

●参考情報

エイジング・スタイリスト 多様性市場で成功する10の鉄則

シニアビジネス(ダイヤモンド社) 
エイジング・スタイリスト
− 商品の重点は「機能」から「スタイル」へ移る

 

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