ロコモティブシンドロームと当事者意識

 
 

2011年2月28日 Vol. 149

村田裕之
 

先日拝聴した東京大学中村耕三教授の話が印象的でした。

中村教授は「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」
(略してロコモ)という概念の提唱者として著名な方です。

ロコモとは骨や関節などの運動器の障害による
要介護の状態や要介護リスクの高い状態のことを言います。

ロコモの人数は現時点で予備軍を含めて4700万人存在し、
60歳過ぎの団塊世代が75歳以上になる頃、
この人数が莫大な数になると教授は警鐘を鳴らしています。

私が特に印象に残ったのは、次のくだりでした。

「60代の人に介護と言っても俺には関係ない』と言われるが、
『あなた、足腰が弱っているでしょう』と言えば、
『そうなんです』とうなづく」

このくだりは、私たちの行動の習性を
よく表していると思いました。

私たちは、たとえそれがどんなに重要なことだと
頭で理解しても、自分がその当事者にならない限り、
なかなか行動に移りません。

身体の弱りを自覚しているものの、
具体的な行動に取り組んでいない 予備軍の人が大変多い。

だから予備軍の人に、
「運動器症候群とはあなた自身のことですよ」
と気づいてもらうことが必要なのです。

しかし、実際はこれがなかなか難しい。
そこで中村先生は、運動器症候群という代わりに、
もっと親しみやすいロコモという言葉を提唱されたとのことです。

「親がもし倒れたら自分がどうなるかを想像して聴いてほしい」
という中村先生の叫びは、私には他人事に聴こえませんでした。

それは私自身の親や親せきが実際に倒れており
自分が当事者だからです。

当事者だから、実際にどういうことになるのか
容易に想像がつくのです。

一方で次の疑問が湧いてきます。

私たちは、それが重要なことだと頭で理解しても、
自分がその当事者にならない限り、行動に移せないのか?

自分が直接の当事者でなくても、
単なる自己満足ではない
当事者意識を持つことはできないのか?

中村教授の話を聴いてこんな疑問を持ちました。


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●参考情報

日本整形臨床外科学会「ロコモティブ症候群」

親が70歳を過ぎたら読む本
相続・認知症・老人ホーム・・・について知っておきたいこと

 

 
 
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