カーブス創業者が伝えてくれたもの

 
 

2006年12月18日 Vol. 98

村田裕之
 

先週、女性専用フィットネス「カーブス」の創業者、
ゲイリー・ヘブン氏の特別講演を聴く機会があった。

この種のイベントは、通常、ビジネスのPRや勧誘が大半だ。
この講演にもそうした趣旨はもちろんある。
だが、一般的なビジネスセミナーとは異なり、
その講演は深く、心に残るものだった。

その理由は、ヘブン氏が大半の聴衆の予想に反して、
ビジネス成功のノウハウではなく、
心の姿勢を一貫して語り続けたことにある。

「成功は与えられることはない。与えられるのは“機会”のみ」
彼は何度もこう繰り返した。
自分に与えられた機会をどう見るかで人生の方向が変わる、
ということを自分の体験から語り続けた。

13歳のときに母親を40歳で亡くした。
それは突然の出来事だった。
肥満と高血圧からうつ病に悩んでいた母に対して
医者が施したのは薬を与えることだけだった。
もし、適切に運動をしていたら、今も元気で生きているはずなのに。

母を若くして失ったこの悔しさが彼の起業の原点となったという。
以来、女性のために使いやすいフィットネスプログラムを開発し、
25歳までに100万ドル以上の資産を持つまでになった。
しかし、成功は続かず、30歳までに全てを失った。

経済的にも精神的にも、どん底に落ち込んだ彼は、
それでも再び92年に現在のカーブスの一号店をテキサスに開店した。
そのときの全財産は1万ドルしかなかったという。
父親からは「何度も失敗した女性専用フィットネスをまたやるなんて、
お前は気でも狂ったのか」と言われたという。

その店は開店後1年目の終わりに600人以上の会員を集め、
十分な利益を上げることができた。
しかし、それ以上の展開には、まだ踏み切れなかった。

ところが、娘が生まれ、次の年に2号店をオープンした。
今度はその店を家族と一緒に楽しむことができた。
その店にも多くの女性が集まり、
女性が求めているものが何かがわかった。
そのことが再びリスクを取り、フランチャイズ展開に
踏み出すことを決心させたという。


「誰でも必ず失敗して倒れる時がある。
大切なのは倒れた後に、いかに立ち上がるかだ。
ダメージが大きいほど飛び立つ時のジャンプも大きくなる」

「すべての障害を“不利”と思わずに、“教師”と思うようにしている。
自分は女性向けフィットネスについて全ての失敗をした。
そして、その失敗から多くのことを学んだ。
だから、もう、成功するしか残っていないと思った」

「自分の身に悲劇が起こったとき、
それを自分の可能性を否定するダメージと見るか。
それとも次のチャンスのバネにするか。
それは自分次第だ」


こうしたヘブン氏の姿勢が日本を含む世界中で
カーブスが躍進している原動力であることを改めて知った。

彼が世界に輸出しているのは、
30分の女性専用フィットネスシステムではない。
彼が輸出しているのは、“哲学”なのだ。

そのことを実感した講演会だった。



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●参考
シニアビジネス 多様性市場で成功する10の鉄則

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