『シルバー産業新聞』
      半歩先の団塊シニアビジネス

 

アンケート調査はどこまであてにできるか?

 
 

2010年7月10日号 第41回

村田裕之
 

アンケート調査という手法は、設問を調査回答者の「現状の事実関係の確認」に限定すれば、回答者が虚偽の回答をしない限り有用だ。たとえば、性別、住所、年齢、生年月日、資格の有無などを尋ねる場合だ。

ところが、設問内容を『未経験なことに対する「願望」や「意向」を尋ねる性質のもの』にすると、その回答の信憑性は著しく低下する。

たとえば、四五歳から六〇歳までの母集団に「あなたは、海外に数か月滞在するロングステイをしてみたいと思いますか?」「ロングステイをする場合、いくらまでの予算なら行ってもよいと思いますか?」「老後の生活をどうしたいですか?」などを尋ねる場合だ。

回答者は、自分が経験したことのない商品・サービスに対しては、実感が湧かないため「明確な価値基準」を持たない。このため、回答への意識が希薄になりやすく、回答内容の信憑性が低下する。

回答内容の信憑性が下がる別の理由は、「回答するときの心理状態」に大きく影響を受けてしまうからだ。 この理由は、私たちの思考過程における「無意識」の働きにある。私たちは、モノやサービスを買うときの意思決定を、自分の意識の下で行なっていると思っている。ところが、最近の脳科学の研究によれば、人の思考過程のおよそ九五パーセントは無意識のうちに起こることがわかっている。

私たちは、意識的な意思決定に基づいて行動しているように思っているが、実際には無意識的な行動のほうが意識よりもずっと早い段階で行なわれている。 だから、アンケートの回答内容と実際の購買活動とが一致しないことが頻繁に起こる。アンケートには「価格が四〇万円までならロングステイに行ってもよい」と回答したとしても、実際に説明会で話を聞いた後では、価格が四〇万円以下でも購入しない、ということが起こる。アンケートに回答したときと説明会で話を聞いたときとで、何らかの理由で心理状態が異なっているからである。

(本文より抜粋)

 

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