『先見経済』  
    次代の成熟社会を支える スマート・エイジング・カンパニーの挑戦
             

 

第12回 世界が注目する日本のスマート・エイジング・カンパニー

 
 

2011年1月1日号 先見経済

 
 

地域発のシニアビジネスを世界に知らしめることを国は応援せよ

一方、産業育成と輸出促進は伝統的に通産省(現在の経産省)の役割だったので、本来は経産省がそのイニシアチブを取るべきと思う。だが、「シニアビジネス」という分野が、高齢者を相手にするために、厚労省の担当領域と重なることで、経産省が前に出にくいためか、わが国の産業育成の「空白地帯」となっている気がする。

民主党政権になってから国の成長戦略がないと言われ続けている。鳩山政権時には、環境産業を経済成長の牽引車にするとの発言があったが、果たしてそれは可能であろうか。というのは、環境産業は、今や世界中のプレーヤーがしのぎを削っており、とりわけ韓国・中国が低価格を武器に競争力を高めてきており、日本の優位性は薄れてきている。

一方、シニアビジネス産業はどうであろうか。現時点では日本が最も優位と言えるだろう。その理由は、日本で揉まれたシニアビジネスが、次の二つの面で、世界で通用するからである。 第一に、世界一の高齢社会・日本では高齢化の課題が世界のどこよりも早く顕在化する。これは裏返せば、ビジネスチャンスが世界のどこよりも早く顕在化することを意味する。だから、常に世界に先駆けて商品化でき、いち早く市場に投入できる優位性がある。

第二に、シニア市場とは多様な価値観をもった人たちが形成する「多様なミクロ市場の集合体」であること。この「多様性市場」には、きめ細かな対応力が求められる。日本の高度な集積化技術と日本人の細やかな情緒感覚がこの対応力に合致するのだ。 このように、日本はシニアビジネス分野で他国に対して優位に立てる素地を十分に持っているのである。にもかかわらず、政府はまったく、このことに気がついていないようだ。目先の課題の処理でそれどころではないのだろう。

私は、そもそも、国の税金に頼るビジネスは本物ではなく、長続きしないと思っている。だから、経産省にシニアビジネス向けに新たな補助金制度を創設して欲しいとは思っていない。そうではなく、世界から注目を浴びやすい日本のバラエティに富んだシニアビジネスを、世界の多くのキーパーソンの目に触れる機会をできるだけ創出するのが国益にかなうと思っているだけだ。


 

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