『先見経済』  
    次代の成熟社会を支える スマート・エイジング・カンパニーの挑戦
             

 

第9回 サンフォーレ 街角ビジネス

 
 

2010年10月1日号 先見経済

 
 

多様性市場の時代の「街角ビジネス」

税金で成り立つ福祉行政は、平等を大原則としている。このため、大規模な施設で画一的・効率的なケアを行うことが従来福祉事業の基本とされてきた。だが、経済成熟の時代である二一世紀には、人々の価値観が個人個人の多様な満足へと向かう。

筆者は拙著「シニアビジネス 多様性市場で成功する10の鉄則」(ダイヤモンド社)で、これからの高齢社会における市場の本質が「多様性市場」であると述べてきた。この概念を地域密着型の「街角ビジネス」に具現化してきたのが(株)サンフォーレである。

街角ビジネスとは、街角の小さいホームに特化して、街角に住むシニアを街角の生活者が支え、雇用とニュービジネスを地域に生み出す仕組みである。 サンフォーレは、神奈川県湘南地域に展開する小規模多機能ホームを拠点に、伝統的な福祉事業の革新に取り組み、二〇年以上連続黒字経営を達成している。

今でこそ、小規模多機能型居宅介護など、地域密着の小規模な介護サービス拠点が国の施策として位置づけられているが、一九九二年に小規模ホーム「サンフォーレ鎌倉」を立ち上げた頃は、一〇〇名以上の規模が無いと採算ベースに乗らない、と全ての専門家から批判された。当時小規模ホームは前例がなく、行政からも許可がなかなか下りなかった。

サンフォーレの堀井利修社長は、「これまでの介護体験から従来の効率重視の経営に対し、質を重視した経営をすれば小規模でも事業が成立するはず」と考えていた。これを証明するために、「サンフォーレ鎌倉」を五年間の公開実験として運営した結果、創業第一期を除いて四期連続で黒字を出し、考えが正しいことが証明され、行政からも認可を受けたのだ。




 

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